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晴れてよかった

冬晴れの穏やかな天気のもと、青梅の家の建て方に立ち会いました。

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いや、いつ見ても大工さんのバランス感覚には驚かされます。
まだ固定が終わっていない梁でも、ヒョイヒョイ渡って固定をすませてしまいます。
組み方は既に監督さんから大工さんに伝わっており、
手際よく組み付けていきます。

この時点では私など、登ったところでお邪魔なので、
下で組む前の材の加工確認、集成材のスペックの確認をしていました。





今回採用したのは、欧州赤松という集成材を構造金物で固定し、
壁と屋根は、あらかじめ工場で断熱材まで入れられたものを現場に搬入し、
決められた場所に嵌め込んでいくという「木軸パネル工法」を採用しました。
この工法では圧倒的に現場ででる廃棄物が少なく、
断熱材も工場でカットされ、残った断熱材の端材はメーカーが回収し、
再度断熱材に加工されるので、とってもエコです。

工法、特に木造では「これ一番」というものは無く、
どちらかというと、プラン(間取り)によって決定していきます。
今回は比較的シンプルなプランで、構造的にボックスモノコックで作りやすかった事、
お施主さんが構造材に特にこだわりは無いという事で、
この工法で行く事にしました。(もちろん予算も大きく関係しますが)

晴れてよかった_c0085722_2284225.jpg


この工法は、現場で組み上がっていくところを見ているだけだと、
あっという間に組み上がってしまうので、なんだか拍子抜けする位簡単に見えますが、
ほとんどの加工を工場で行うため、
加工前の確認、打ち合わせがものすごく重要になります。
(場合によっては加工機械の精度確認から始める事もあります)

材料同士のクリアランスをある程度とれば、
何かあっても吸収する場所が確保できるので、
なんとか組上げる事は可能ですが、強度や断熱欠損から見るとやはりいただけません。
よって、加工前に限界までクリアランスを詰め切って、
きっちりした加工を行う必要があります。

軸組やパネルの精度は工場加工なので、
結構なところまで追いつめていけますが、
一番重要な「基礎のレベル(水平)」が狂っていると、
くみ上げが進むほど材料がなかなか入らなくなり、
最後の材料がどうしても組めないという事態に陥ります。

基礎は工場で・・・というわけにはいかないので、
現場での精度確認を何度も行い、基礎天端(上面)では2ミリ以内、
対角線でも3ミリ以内の精度で施行を行わないと、
この工法は成立しません。
そのため、現場管理の精度が必要になり、
監督さんが最も気を使う部分でもあります。

つまり設計、工務店、工場、現場総掛かりで、
入念な下ごしらえがあってこそできる事で、
仕込み8割、現場2割といわれるほどです。

設計としても当初狙っていたクリアランスでうまく組み上がるか、
組むたびに確認をしたくなるので、足場が落ち着いた頃に各部を確認し、
図面通りの寸法が確保できているか、直角はでているか、
金物は指定したものがついているか、固定するピンは打たれているか、
現場進行にあわせて確認を進めていきました。

とっぷり日が暮れた頃、すべての部材が組み上がり、家の姿が現れてきました。
この寒い中、お施主さんも気になるのか1日中現場を眺めていて、
その手際の良さと、思った以上に早く組み上がっていく様に、
「こんなの見たの初めてだよ」とおっしゃっていただけました。

さあ、これからが現場本番です。
監督さん、大工さん、よろしくお願いいたします。
by kameplan_arch | 2007-01-30 22:39 | 河辺の家/東京
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