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瓦屋根職人×建築士×左官職人÷青年=?

先日、建築士会の珍しいイベントに参加してきました。
題して「瓦屋根職人×建築士×左官職人÷青年=?」
静岡県下の建築士会、瓦屋根工事業連合会、左官組合それぞれの青年部合同で、
交流を通じて、立場を超えた建築への想いを共有しようと言う事から始まりました。

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3団体合わせて60名近くの参加。
まずは現業の瓦屋根職人さんと左官職人さんの体験会からスタート。





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瓦屋根職人さんによる体験会。
のし瓦(屋根の一番上にある棟の部分に積む瓦)を割ってみる。
瓦と言う焼き物を、筋を入れて綺麗に割る手順で、
見ていると簡単にできそうに思えるが、これがなかなか難しい。

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既製品ののし瓦には、裏面に1/2に割るための筋があらかじめ入れられている。
まずは1/2に割るために、この反対側にハンマーを入れるが、
筋通りに割るためには、ハンマーの角度を筋に合わせないといけない。
少しでも筋から外れると、1/2どころか粉々になる。
一発勝負のシゴトである。

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建築士会、左官職人のメンバーもチャレンジするが、
おっかなびっくりでハンマーをあてて、でも失敗連続。
瓦職人さんがやると、ちょちょいのちょいで綺麗に割れる。

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で、教育的指導連発(笑)
このシゴトを勾配のある、しかも今の季節だと風が吹き荒れる過酷な環境でやる。
地味であるが、ここで手を抜くと雨漏り発生の原因になる。
気が短いと出来ないシゴトですね。

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瓦屋さん専用ハンマー。
形も大工さんのハンマーとは全く違い、叩く機能の他に、削る、穴をあける等、
屋根上で作業するので、たくさんの道具を持って上がれないので、
1つの道具で様々な作業がでるように仕込まれている。
柄のところにも目盛りが打ってあるのだが、
この目盛りが一目盛りで一寸(約3.3cm)になっていて、
細かな部分を細工する時に、柄の部分で現場を計りながら割って合わせる。
一つ一つの道具の機能も無駄無く、綺麗に納められている。

いいシゴトをするために、日々考えているのが職人サンなんですね。

で、続いて左官職人さんの体験。
まずは「ドロ団子」づくり。

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下地になる土でつくった団子に、

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仕上の下地になる漆喰を塗り付けて、牛乳瓶の口で磨きながら乾かす。
その後仕上の色付き漆喰を塗り付けて、さらに磨いていく。
30分ほど磨くと・・・・

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なんとっ!!こんなに美しい玉に変身。
磨きを加えれば加えるほど光や深みを増し、どんどん美しくなっていく。
いわゆる「土佐漆喰壁」の応用編みたいなものらしいのですが、
この作業はとても楽しい。

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で、いい大人60名がそれぞれの団子を磨き中(笑)
夢中になるうちに、笑顔もこぼれて楽しい時間でした。

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次は左官壁体験塗りのお時間。
プラスターボードにそれぞれ試し塗りをするのですが、
これもまた難しい。
コテに材料を載せるだけで一苦労。

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「勢いよく載せて、そのまま壁に当てるんです」と説明を受けて、
勢いよくやりすぎて、コテから漆喰がはねて、惨劇2秒前の建築士某氏(笑)

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塗り厚もバラバラ、平滑にはほど遠いのを見かねて左官職人さんが、
「模様付けしてみたら」と、サササッと模様をつけていく。
一同「おぉ〜」とうなっていた。
言うは易し、行うは難しと言う事を肌で感じましたね〜。
次回から、壁の左官仕上の時には、職人さんともよ〜く相談する事にします(汗)

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最後に、建築士会、左官組合両方のメンバーである浜松支部のK氏
建築士会メンバーの惨状を見て、
「そんなんじゃダメだぁ〜」と塗り後を手早く塗り直し。
いや、プロみたいな手さばき!! おみごとっ!!
(注:プロの左官職人さんです(笑))

体験会で大盛り上がりした後、ディスカッションタイムへ。
それぞれの立場からの質問や、意見のやり取りを活発に行いました。
その中でもよくいわれたのは、
「設計屋さんは職人から見ると雲の上の人。意見なんか出来ないから、
疑問があっても指定されて通りにやるんです」と。

私自身はそんな意識無く現場に通って
職人さんと打ち合わせたりしているのですが、
一般的には設計と職人さんの距離の遠さを実感。
現場に立てば、設計も職人も同じ立場で建物に関わる者の一人。
疑問があれば意見してもらいたいし、
それでよりいいシゴトにつながるのならば、
歓迎する以外にはない。
しかし、職人さんはそう感じていないのかもしれない。
今度現場に行く時から、注意せねばと思いました。

現場で各職方さんとやり取りする事はあっても、
それはその現場に関わる事がほとんどで、デティールに近い話が多い。
今回はそれを越えて、それぞの立場から見た建築を語れた事が、
非常に大きい収穫でした。
今回一階限りでなく、今後も継続的に交流を続け、
よりよい建物を造るための横断的集団になればと感じました。
by kameplan_arch | 2008-01-29 16:39 | けんちく日記
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