ここのところ、土曜住宅学校やしずおか木造塾、
ふじようちえんや伊豆高原の家など、
この他にもブログにアップしきれないほど、
様々な方とのお話や物件に触れる機会があり、
自分の中での空間の考え方や建築の捉え方が、
大きく変わってきていることを感じます。
皆さんの仕事を見ていると、空間の捉え方が大雑把であることに反省を覚え、
ベーシックな部分をもう一度見直さなければならないかと。
そのことにはたと気づかされたのが、
住宅建築07年4月号の永田さん、堀部さん、平良さんの対談の中での、
堀部さんの一言。
建築士会で行う建築家講演会でトークセッションを行うことになり、
そのスピーカーとして私も参加する事になったので、
堀部さんの仕事をもう一度整理してみようと思い、手持ちの本を紐解いていた所、
目に飛び込んできた一言でした。
「韓非子」のなかに「犬と鬼」という故事があり、
皇帝が宮廷画家に描きやすい絵と描きにくい絵は何かと訊ねた所、
画家は鬼が書きやすく、犬が書きにくいと。
犬は身近にいるので、実態的で正確に捉えることは逆に難しい。
鬼は想像の世界のものなので非常に描きやすい。
どんな表現をしても、人はそれで喜んでしまう。
この文を読んで「あ、やばい」正直思いました。
私は犬を描く世界の中で、鬼を描こうとしているのかと。
クライアントの生活をもとにする住宅という「犬」的な建築で、
自分のエゴや世間の受けを意識して、うまくも描けない鬼を描こうとしているのかと。
では、自分にとっての「犬」とはなにか。
描き手に回る仕事をしている以上、常に意識しなければならない命題。
独立してちょうど2年。
様々なクライアントや周りの人に支えられてここまでくることができました。
今壁にぶつかっているとしたら、
やはり「犬」をとらえる努力が足りないことかもしれません。