カテゴリ:Web住まい教室( 6 )

坪単価で比較する、というコト【その3】

車で坪単価を算出したり、施工床面積の出し方をお話ししましたが、
最後に、「建物が小さくなると坪単価が上がる」というお話をします。

住宅には、面積に比率して掛かる費用が上がる部分と、面積に関係なく掛かる部分があります。

よほど大きな豪邸は例外として、おおよその家には
「玄関」「キッチン」「トイレ」「お風呂」は1箇所です。
これらは面積には比例しないとします。

対して、屋根や基礎、構造体、外壁、断熱、内装、電気などは、
面積の大小におおよそ比例します。

この固定部分と比例部分を一緒くたに語るのが「坪単価」というやつです。

試しに35坪の家と、18坪の家で比較してみましょう。
試算に用いている単価は、あくまでたとえ話です。
単価自体は不正確なものなので、あまり参考にしないでください。

■35坪の家の固定費用部分。
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■35坪の家の比例部分。
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合計2530万円。
坪単価になおすと72.3万/坪となります。

これを18坪に置き換えると。
■18坪の家の固定費用部分。
   ※35坪と変わりません。
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■18坪の比例部分。
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合計1335万円 
坪単価になおすと74万円/坪となります。

全く同じ仕様なのに、面積が変わるだけで1.7万円/坪も高くなりましたねぇ

これが60坪の家になると
■60坪の家の固定費用部分。
   ※35坪と変わりません。
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■60坪の比例部分。
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合計4150万円 
坪単価になおすと69万円/坪となります。

仕様が変わらないのに、35坪の家よりも3.3万円/坪も安くなりました(笑)
18坪の家から比べると、4万円もお買い得(笑)

この様に、同じ仕様でも面積が変わると坪単価も変わります。
なぜそうなるのかと言えば、面積に変わらず必要な機能があり、
それが固定費になるので、面積が小さくなるほど固定費部分の比率が大きくなるからです。

■18坪の家の固定費比率
 380万円÷1335万円=28.5%

■35坪の家の固定費比率
380万円÷2530万円=15%

■60坪の家の固定費比率
380万円÷4150万円=9%


同じ仕様で面積が変わるだけで坪単価が変動するのは、
この固定費の比率が、小さくなるほど大きくなる「反比例」の関係にあるからです。

このように、同じ仕様でも面積でも変わる坪単価。

      「何が含まれているかよくわからない坪単価」
                                ×
「どこまで含まれているのかよくわからない施工床面積」
                               =
                       建物本体価格。

       ※坪単価は施工床面積により変動します(笑)


変数だらけで魑魅魍魎。
坪単価で比較する事の意味の無さをお分かりいただけましたか?

前のエントリーでもお話しさせていただきましたが、住まいに「全く同じもの」は無く、
見た目の仕上げや設備が同じでも、隠れた構造や下地、断熱など、
長く快適に住まう事に必要な性能は、見た目だけでは分かりません。

ましてや、一昔前に良くあった「建て逃げ」(たてるだけでメンテはしない)などは、
全く持ってわかりません。

大切な事は、

1)自分が支払える予算であるかどうか
  オーバーローンで月々の支払いで汲々ではないか?

2)考えているプランや性能が、予算でたてられるのか?
  安ければいい、というものではありません。安かろう、悪かろうという言葉もあります。

3)規模は適切か?
  立派な子供部屋を作ったはいいが、使ったのは数年・・・という事にならないか?

かを、しっかりと見極める必要があります。

これらはを見極めるには、信頼出来る設計事務所か工務店さんに相談し、
長いスパンで計画を立てて行く必要があります。

折角建てる住まいならば、
長く快適に、安心して住たいと思いませんか?
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by kameplan_arch | 2014-09-23 22:19 | Web住まい教室

坪単価で比較する、というコト【その2】

前回は、車を面積で割って比較してみましたが、
車の場合、面積の算定方法自体が法律で定められていて、
「希望小売価格」÷「諸元表のタテヨコ寸法」=坪単価
という「諸元表のタテヨコ寸法」のぶれがメーカー間で違う、という事も無いので、
まだ比較としては暴れがありませんが、
住宅の場合、坪単価の「坪」=施工床面積の算出基準がありません。

もちろん、建築基準法上の床面積の算出基準は厳密にあり、
kameplanが算出しようと、ほかの工務店さんが算出しようとも、同じ数値になります。

これが「施工床面積」になると、全く話が違ってきます。
例えば、
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こんなプランを例にとりますと・・・・

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赤色の部分が建築基準法で言う「延べ床面積」の範囲になり、
この面積は誰が出そうと同じ面積になります。
ちなみに、このプランの場合の延べ床面積は116.76m2/35.32坪になります。【延べ床面積とします】

ここからが施工床面積の分かりにくいところなのですが、
「施工が入る面積はそこだけじゃないんですよ〜」ということで、

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青色の部分、1階の玄関ポーチ、2階のバルコニー、吹き抜けを参入したりします。
まあ、ポーチの上には建物があるし、バルコニーも防水やデッキ材や手すりなどがあるので、
施工する面積としていれてもいいかなぁ、とも思います。
この面積が33.32m2/10坪になります。【施工床面積①とします】

さらに、「うちは丁寧な仕事しているから、施工する面積はもっと多いぞ」といって

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緑の面積も参入したとしましょう。
この部分は玄関のたたきや、お風呂前や南側のデッキ、2Fの上にある小屋裏収納などが入っています。
もちろん、小屋裏収納も床を張って照明を付けたりする手間がありますし、
デッキも単純に板を張るだけではないので、
施工床面積に入れたくなる気持ちは分かります。

この面積が44.23m2/13.38坪になります。【施工床面積②とします】

では、この家の工事費を仮に2350万円とすると、

【延べ床面積】(誰が出しても変わらない面積)では、
2350万円÷35.32坪=66.5万/坪
となります。

ここに【施工床面積①】(業者独自のローカルルール)を合算すると、
2350万円÷(35.32坪+10坪=45.32坪)=51.9万/坪
となります。坪単価で言えば14.6万/坪も安くなりました(笑)

さらに【施工床面積②】(業者独自のローカルルール)をを合算すると、、
2350万円÷(45.32+13.38坪=58.7坪)=40万/坪
となります。さらに26.5万/坪も安くなっています(笑)
建物は変わっていないのにローコストビルダーのチラシに出そうな坪単価です。

ちなみに、このプランの建物は建物本体2350万円で竣工できました。
(外構250万、諸経費150万、合計2650万円)

つまり、坪単価のベースになる「施工床面積」とは、施工者のローカルルールでの算出が基準になり、
業者間で違うローカルルール同士を、「坪単価」というおおざっぱな目安で計っているんですね。
こういう基準を、何も知らない一般の方に触れ回り、優位性を誇るやり方はどうかなぁ、とkameplanは考えます。

もともと「坪単価」という概念は、大工手間の算出方法が始まりで、
大工さんに「坪○○万でどう?」という発注の仕方が起因です。
この発注方法は今もあり、面積の割に難易度が高いか低いかなど、
価値観をある程度共有できている業者間でやり取りされているコトなんですね。

今回は建物本体金額を2350万円で固定し、同じプラン上で面積算出をした場合でしたので、
比較的分かりやすくなりましたが、
これがプランも無く、本体金額の設定も無ければ、何を基準にしているのかも分かりません。
建築基準法上では、吹き抜けも、小屋裏収納も、玄関ポーチもデッキも、面積には入れません。


「何が含まれているかよくわからない坪単価」
                                ×
「どこまで含まれているのかよくわからない施工床面積」
                               =
                       建物本体価格。


変数どおしで掛けても、出てくる数字は変数でしかありません。
この変数にお施主さんが一喜一憂しているのが現実です。
住宅業界とは、なんともトホホな業界です(泣)

お施主さんに最も重要な事は、
「いったい全部でいくら掛かり、ローンでいくら、自己資金でいくら支払う計画であるか」という事。
・月々の支払いに無理が無いか。
・変動する金利に収入がついて行けるか。
・建物の耐震性能、断熱性能はどうなのか。
・建物のメンテナンスにいくらぐらいかかるのか。
・将来の子供の成長や自分の加齢に建物が対応できるか。
・健康安全性の高い建材を使っているのか。
すべて数十年という長い時間軸で、じっくり考えるべきものです。

設計事務所は図面を書くだけでなく、上記の資金計画のお手伝いや、
施工業者の見積りの精査(入っていないものが無いか、不当に高いものはないかなど)。
予算とはなれてしまった場合の減額案の提示。
クライアント希望の追加工事の工事費精査。(工事として行う意味があるのかと?いうアドバイスを含め)
見えない部分に手抜きが無いかの現場チェックなど、
一般の方が思われている設計業務以外の業務が多くを占め、
その事でクライアントさんが、いろいろな面で「安心して住まえる家」を建てる
「監査役」でもあるべきだと考えています。

家作りを計画されている方、
坪単価で一喜一憂するのではなく、総額をふまえた資金計画と、
その総額に見合い、自分の価値観に合う施工者、設計者と家作りを進めると、
長い目で見てお得だと、KAMEPLANは考えています。
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by kameplan_arch | 2014-09-22 23:39 | Web住まい教室

坪単価で比較する、というコト【その1】

「坪単価で比較する」という事について、kameplanとしていろいろお話ししてきましたが、
やっぱりいまいち分からない・・・というお話をいただいたので、
数回に分けてお話ししたいと思います。

ます普通はやりませんが(笑)、車でやってみましょう。

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まずはハイエースバン
スーパーロングのバンは結構大きいですよねぇ。
メーカーの諸元表では4.695m×1.695m=7.96m2。坪に直すと2.4坪。
一番高い4WDタイプで2,608,571円(税抜)
260万÷2.4坪=108万円/坪

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同じトヨタのアクアの大きさは、
3.995m×1.695m=6.77mm2。坪に直すと2坪。
一番高いGグレードで1,857,143円(税抜)
186万円÷2.0=93万円/坪

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またまた同じトヨタのピクシスと言う軽自動車。
3.395m×1.475m=5.0m2。坪に直すと1.5坪。
一番高いGf“SA”グレートで1,219,048円。
122万円÷1.5坪=81.3万円/坪

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こちらはメルセデスベンツのSL550。いかついですねぇ(笑)
4.615m×1.875m=8.65m2。坪に直すと2.6坪
SL550で16,045,000円 (税抜)
1605万÷2.6坪=617万円/坪
さすがのメルセデスですねぇ。

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同じメルセデスのBクラス。SLとは違い面構えに親近感がありますねぇ。
4.365m×1.785m7.79m2。坪に直すと2.36坪
B180スポーツで3,579,000円 (税抜)
358万円÷2.36坪=151.7万円

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ダイハツのコペン。可愛い顔してますねぇ。
3.395m×1.475m=5.0m2。坪に直すと1.5坪
5MTのグレードで1685000円
168.5÷1.5=112.3万円/坪

ハイエースバン:108万円/坪
アクア             :93万円/坪
ピクシス          :81.3万円/坪
SL550           :617万円/坪
Bクラス           :151.7万円/坪
コペン             :112.3万円/坪

坪単価の安い順で並べると、ピクシス >アクア>ハイエースバン>コペン >Bクラス >SL550。
同じ車であれば、SL500よりピクシスの方がお買い得、という事になりますね。

では、SL500とピクシスを同列に並べて比較できるでしょうか?
同じ移動手段で、タイヤは4つ、エンジンは1つ、快適に移動できる乗車人数は2人・・・
物理的なスペックはほぼ同じ。
であれば、ピクシスでいいですよね(笑)

コペンはSL500の約1/5のお買い得感。
同じオープンスポーツで、ハードトップ付き。
同じ機能で5倍もする(5倍しかしない)SL500の存在意義が分からない(笑)

コペン買うならハイエースの方がお買い得。
だって同じ車で坪単価4万も安いんだから(笑)

上記5つの比較で、何か具体的な事が見えましたか?
少なくとも私は順番に並べる以上の優位性を見つける事が出来ませんでした。

坪単価で比較するということは、含まれているモノやバックボーン、用途の違いなどを全く無視して
「大雑把に面積で割ってみた」というそれだけの事で、おおよそ結果論でしかありません。
これから買うものの「中身を比較する手段」としては荒っぽすぎます。
「坪単価」とは、それほど絶対性の無いものなのです。

中身のよくわからない「坪単価」×施工床面積=家の値段。

まだ車の場合は、「大きさを測る基準」が法律で決められていますので、
大きさのみを比較することでは、それほど大きなぶれがありませんが、
家の場合の「坪単価」にかける面積=施工床面積の基準がありません。

この施工床面積については、次回に。
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by kameplan_arch | 2014-09-21 21:33 | Web住まい教室

高断熱住宅は健康に良い?

「高断熱住宅は健康に良い」というと、ちょと怪しく聞こえますね。
「昔の家には断熱などなかった、だからちょっと寒くなっても風邪も引かなかったしみんな健康だった」
と言われる方もいらしゃいます。

今の築60年の家に引っ越して来て、その意見自体が精神論だな(笑)と感じる様になりました。
確かに寒くて暑くて段差だらけのこの家に鍛えられることもありますが、
それは住まい手である私が健康である事が前提。
一度体調を崩すと、前に住んでいたマンションの時にくらべ、治りが遅くなった様に感じます。
それが「鍛え方が足りない」のかもしれませんが(笑)


近畿大学理工学部建築学科教授 岩前 篤氏健康・省エネを推進する国民会議
の研究発表による上のグラフがあります。
この研究は、転居前、転居後の断熱性能の違いによって、
症状の発生がどう変わったかと言うことを疾患ごとに統計的にまとめた物です。
断熱グレード3が新省エネ基準、グレード4が次世代省エネルギー基準、
グレード5がそれ以上の性能で、順に症状の発生が緩和されている事が分かります。

ただし、この中で目のかゆみや肌のかゆみ、花粉症、アレルギー鼻炎、アトピー性皮膚炎などは、
ダニやカビの発生が抑えられた住まいに転居したことも作用していると考えられ、
断熱性能の向上が直接的に作用したとは言い切れませんが、
その他の症状は飛躍的に向上しています。
(高断熱、高気密化によって必要になった計画換気が作用しているのかもしれません)
また、室内の体感温度が上がる事で、家の中でアクティブに動く様になり、
症状の緩和につながったと言う事も考えられます。

高断熱化によって症状が緩和されると言う事は、それだけ生活の質が上がる事にもつながり、
更には医療費の抑制にもつながると言ってもいいかもしれません。
特にお年寄りがいらっしゃる住まいは、ヒートショックによる心疾患を防ぐために、
バリアフリー化とともに重要な事だとも考えます。

断熱改修は目に見えない体感温度を改善する事なのでまだまだ一般的ではないですが、
耐震改修の様に壁を剥がす工事を行う場合、一緒にやると工事費の節約にもなります。
また、二重窓にしたり、天井に断熱材をふきこむと言った一部分の改修でも、
元の性能によっては飛躍的に改善できることもあります。

高断熱=省エネだけと思われがちですが、温熱環境の改善はこのような関連性もあるのです。
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by kameplan_arch | 2011-02-14 10:41 | Web住まい教室

薪ストーブセミナーを公開!!

先日、浜松の薪ストーブスペシャリスト「伝兵衞堂」さんのセミナーで使用したスライドを、
折角なので動画にしてみました。

最近、薪ストーブを導入するお宅が増えてきました。
カーボンニュートラルという側面からも良い事ですよね。
ただ、薪ストーブは他の暖房設備に比べても熱量が大きく、
空気の流れを考慮せずに設置すると、かえって不快感が増す場合があります。

「熱と空気のデザイン」をきっちりすれば問題が起きにくいので、
その辺りの原理や対処法等を動画にしました。
これから薪ストーブをお考えかの方は、ぜひご覧下さい。


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by kameplan_arch | 2011-01-21 11:29 | Web住まい教室

住まいづくりの「とっかかり」

ここのところ、忙しさにかまけていたら、PCのデスクトップが大混雑(泣)
このままにしておくと、大切な資料やら図面やらがどこかに行ってしまいそうなので、
PC内部の大掃除をしました。

そしたら、以前住まいづくりセミナーで使用したパワーポイントを発掘(笑)
そのときは、これから住まいづくりをスタートさせる方へ向けてのセミナーでしたので、
心構えと言うか、考えみたいなものをお話させていただきました。
折角なので、ムービー化してYou Tubeにアップしてみました。



当日はこのパワーポイントを元にして、
今まであった事例や失敗例を交えてお話しさせていただきました。

そういえば、住まいセミナーのパワーポイントが結構溜まっているので、
今後「Web住まい教室」として、YouTube経由で発信していきますね。
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by kameplan_arch | 2010-06-23 13:45 | Web住まい教室