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小さな家、計画。



池袋の西口の路地を入っていくと、そこには池袋と言う事を忘れさせるように、
そっと「自由学園明日館」があります。
これは、かのフランク・ロイド・ライト設計で大正12年に完成した建物。
幾度となく訪れていますが、その佇まいといい、スケール感の程よさといい、
何度訪れても新しい発見のある建物です。

去る12月2日、その自由学園にて「新・あたり前の家ネットワーク キックオフミーティング」が開かれるとの事で参加してきました。
ミーティングには全国より140名を越える建築関係者が集まり、
その熱気に押されるkameplanでした(笑)



「小さな家、計画。」という、建築家住宅を標準化とプロダクト化によって、
無理なく手に入れられる金額にまで落していこうと言うプロジェクト。
「標準化」や「プロダクト化」というと、建築設計者は眉をひそめるかと思いますが、
私は一概にそうとは思いません。

講演会の中で、建築家の伊礼さんも仰っていましたが、
「大量生産」のための標準化が目的ではなく、
自分が手がける住まいの「品質」を向上させるための標準化。
毎回違う事にトライすることが、決してクライアントのためにはならない。
建築家は、そのクライアントに対する責任をしっかり遂行するために、
意識的にも、無意識にも「標準化」を行っているのではないかと。
その積み重ねの先に、本当に質の良い住まいの実現があるのではないかと。

この標準化の考えには全くもって賛成で、
新しい事に挑戦し、様々な価値や提案を生み出す事も設計の仕事ではありますが、
だからといってクライアントの住まいを「実験場」にして良い道理はありません。
同時に、質を向上させるためにさらに良い方法や表現を模索していく事が大切で、
それを標準化と呼ぶと考えます。

プロダクト化もまた然りで、きっちり空間を構築出来ている設計であれば、
プロダクト化に耐えうると思いますが、
標準化された「部位」の寄せ集めでは、決して良い住まいが出来るとは思いません。
「標準化された部位」の前に、「空間の設計」と言う大きな仕事が横たわっており、
考え抜かれ設計された空間を支えるのが、標準化された部位ではないかと。

「標準化された部位」が一人歩きし、それをプロダクト化と呼ぶのであれば、
それには賛同しかねますが、「質のよい暮らしの出来る住まいをつくる」
という仕事に寄与する空間設計を中心に置き、
決してそこから目をそらさないことが出来るのであれば、
過去多くの有名建築家がトライしてきた「プロダクト化」が、
インターネットやPCが当たり前のように使われる今の時代、
やっと花開く可能性があるのかなと感じました。

今後どうなるか、注目していきたいと思います。
by kameplan_arch | 2010-12-06 23:28 | けんちく日記
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