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挑戦する建築

再開発ラッシュ東京の中でも、このところ大規模プロジェクト目白押しの六本木。
六本木ヒルズや、今月末オープンの東京ミッドタウンがありますが、
なんだかどこにいても同じような大規模再開発ものにあまり食指が動きません。

でも、この建築だけは訪れておきたかった、国立新美術館

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設計は、都知事選に立候補した黒川紀章氏。
氏は若干26歳のときから、「メタボリズム」(新陳代謝)
という考え方を建築に持ち込み、
建築は出来たときに固定してしまうものではなく、
有機的に成長、変化していくものという考え方を実践してきた。





挑戦する建築_c0085722_2056437.jpgなにかとクローズアップされる、波打ったカーテンウォール。
内側から見た風景が、内部にどう作用しているのか見てみたかったので、
このポイントでしばし観察・・・・

しかし、エントランス部にある逆円錐状のものが邪魔をして、
波打った形状がすべて見える訳ではなかった。
逆円錐とカーテンウォールの距離も近く、お互いに深い関連性があるようには見えなかった。
ということは、波打った形状は内部への作用ではなく、
外部からの作用で?
と思い、すぐさま屋外に移動。




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おぉ、なるほど。
フカーテンウォールと逆円錐がきれいに見える。
夕景に映えるファサードラインですね。



しかし、メタボリック・・・・ぢゃなくてメタボリズムを提唱していた氏にしては、
このファサードラインの意味がどうにも見えなかった。
(もちろん、見えなかった約95%の理由は、私の建築勉強不足にあたります(汗))
中銀カプセルタワーや、ソニータワーのような、
考えがそのまま形になっているようでは無いなと感じ、
ちょうど開催中だった「黒川紀章展」を見てきました。

その展示の中に、この国立新美術館の展示もあり、
内部構成のスケッチをよ〜く見てみたら、
なんとこの美術館、各展示室の地下に専用搬入口とエレベーター、
品評室までしつらえられているのでした。
そう言えばこの美術館、常設展示の無い異例の美術館。

つまり各企画展示は、各展示室ごとに別期間、別コンセプトで行われる機能重視の美術館。
搬入路は個別に設けないと対応できない。
しかも日展は次回以降この美術館で行われるという。

日展はその展示点数もさることながら、応募作品が非常に多い。
展示品評を別の場所で行っていたら、非常に煩わしい。
いっその事、搬入され来たものを一旦地下所蔵室にいれて、
同じフロアにある品評室で展示品評を行い、
展示決定したものはそのまま展示室へ搬入できる。

各展示室が有機的に展示を行い、いつ行っても違う展示が見られる美術館。
メタボリズムに美術館運営をするという事でしょうか。`

そう思うと、展示室部分とファサードのカーテンウォール部分が
吹き抜け部分で何となく切り離されているように感じた。
ひょっとすると、この象徴的なカーテンウォールは、
未来永劫存在するものではなく、時代によって変えられていくものなのかも?
構造的にも切り離し可能のように思える。
機能部分のみ有機的に設えておけば、ファサードなど関係ない。

また、この波打ったカーテンウォールが、道路側に正面を向いているのではなく、
六本木ヒルズに向き合っているところも気になる。
六本木ヒルズに対するメタファーなのかな?

愚か者の深読みですね(激汗)
by kameplan_arch | 2007-03-04 21:38 | けんちく日記
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