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祝!!開院

N医院、若干の残工事はありますが、開院いたしました。

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なにぶん改装工事なので、すべて旨く納めたかというと・・・・
ただ、過去の形跡をすべて無くしてしまう事も可能だったのですが、
この医院はお父さんから息子さんへと継承される医院。
お父さんの頃から来院していただいている患者さんにとって、
変わりすぎるのもどうかと思い、外観はあまり手をつけなかったという理由もあります。





この医院の若先生(息子さん)とは、お会いしたときから感覚が似ているな、
と感じていました。
若先生も同じように思っていただいたらしく、
打ち合わせで難航した事は一度もありませんでした。

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エントランス入り方も、前の医院は右側(道路側)のガラスフィックス部分にあったのですが、
道路から唐突に入りすぎるし、段差の解消も難しいと思っていたので、
駐車場方向からのエントランスで、風除室を兼ねたポーチを設え、
ポーチの屋根を支える壁を、サイン代わりに大きく取りました。
この壁と軒裏の杉板、土間の炭モルタルで、
ご近所さんには「料理屋さんにするの?」と誤解されてましたが。

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エントランスから入ると、奥の事務室まで一気に見通せる待合室。
細々と区切ると狭苦しく感じ、天井高もそれほどとれなかったので、
思い切って一室にしました。
それによって待合室に余裕ができ、
事務の方に患者さんが気軽に声をかけてもらえるような、
そんなコミュニケーションのしやすい医院になればと思っています。
また、開口部には障子を付けて、光を和らげるとともに、
外部からある程度のプライバシーがとれるようにしました。

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受付はフルオープン。
患者さんから見ればいい設えですが、
働いているスタッフさんにはちょっと辛いかな、と思って、
事前にイメージをお伝えしたところ、
今までもそれほど気にしなかったので問題ないですよ、とのこと。
スタッフさんが患者さんといい関係を持てている医院でしか、
この設えは無理かもしれません。
また、カウンタートップもお手入れの面ではメラミン化粧板などが
よく使われますが、やはり人の手が触れるところなので、
本物で、なるべく手触りの良いものをと思い、
工務店会長の提案の元、ヒバの無垢板を誂えました。

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エントランスを待ち合いから見るとこんな感じ。
炭モルタルの黒と、床板のヒノキの明度差があるので、
お年寄りでも視認しやすい段差にしました。
また、靴の脱ぎ履きに使ってもらえるよう、低めのベンチを設えました。
このベンチが一番座り心地がいいという評判をいただきました。

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エントランス左に、小上がりを設けました。
ノンビリ寛いで診察を待ったり、診察後お茶でも飲んで一服していただいたり、
具合の悪い方には横になってお待ちいただいたり、
そんな多用途に使えるのは、やはり畳の間しかありませんね。
先ほどのベンチより若干高さを変えていますが、
この小上がりの端っこでも、靴の脱ぎ履きをしていただけるよう、
土間と絡めて設えました。

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診察室への廊下は、床のみ薬品に対して丈夫な床材を選択。
常に清潔にするべき診察/処置室もこの床で仕上げました。
実はこの右側にトイレがあるのですが、
ぱっと見て解らないような場所に置きました。
なにぶん、待合室から距離が近い事と、
検尿にも使うので、処置室へ検体を運ぶ導線も考え、
この位置にプランしました。

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上の廊下を左に曲がると診察室。
待合室は電球色の蛍光灯のダウンライトにしましたが、
診察/処置室は温白色の蛍光灯に。
一般に電球色より温白色のほうが演色性がよく、
顔色を見なければならない診療/処置室には演色性が高いものを求められます。
白色だともうちょっと演色性があがるのですが、
白々しくなる事をさけるため、温白色にしました。

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医院の中心となる診察室。
ちょうど南側に当たるため、診療時間中は一番明るい部屋になります。
まだ窓はサッシが見えていますが、ここにも障子が入る予定。
障子が入ればもっと光が柔らかくなり、
明るいながら包まれるような空間になればと思っています。

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若先生ご自慢のプラモデル。
医院が出来上がったら、まずこのプラモを飾る場所を探すとおっしゃっていました。
遊び心があり、いいじゃないかと思いませんか?
しかし、お医者さんていろいろは所で器用な方が多いです。
以前手がけた歯科医院の先生も器用で、車の模型などたくさん作っておられました。
なにぶんストレスが多い仕事なので、落ち着いた空間がドクターにも必要ですね。

今回の医院は、若先生が「旅館みたいな診療所を」という一言から始まりました。
結果的には旅館というより「家」そのもののような診療所になりましたが、
病気になって、少しでもリラックスしたい時に行く診療所が、
運営面を優先するばかり、硬い施設みたいなものが普通だとされていますが、
患者さんからみれば、考える余地がまだまだあるなと、
医院を手がけさせていただいて感じました。

まだまだ勉強の途上、いい物件に出会えて幸せです。
ありがとうございました。
by kameplan_arch | 2007-03-07 23:53 | N医院/埼玉
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