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現地調査でわかること


なんと、南国沖縄でございます。
もちろん沖縄での仕事は初めて。
気候風土や建築環境などほとんど解らない場所なので、
結構不安ですが、頼まれたからには
徹底的に勉強して進めようと意気込んでおります。
(空回りしなければ良いですが・・・(汗))

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依頼してくれたのは、本土より移住した友人。
沖縄にもずいぶん慣れたので、そろそろ自宅兼店舗を建てようかと
相談を受けていました。
今回は敷地確認と初回打ち合わせで沖縄へ行ってきました。
写真は恩納村にある友人の自宅マンションより撮影。
こんな景色を毎日見て暮らせるなんて、ほんといいな〜と思いました。




計画敷地は、地主さんに購入意思を伝えている段階だったので、
まずは現地の確認。

西側に海を望む敷地で、背後南東側に高い崖を背負い、
西側に椄する道路への間口だけは大きくあった。
しかし奥行きが建物を建てるにはギリギリしか無く、
計画はおそらくそれほどバリエーションを持たせられないだろうと踏んでいた。

それ以上に、背後にある崖への対処が難しいだろうと推測。
早速村役場の建築課へ確認にいくと、案の定県条例で崖への対処を求められた。
具体的には流出土砂の算定を行い、それに見合った擁壁の築造が原則。
でなければ、建物本体でその土砂を受け止める構造とするしかない。
擁壁など建ててしまうと、敷地が擁壁築造で終わってしまう。

詳しくは県土木事務所で聞いてくれ、との事だったので、
宜野湾にある中部土木事務所へ。
担当と敷地図とラフプランをにらみながら、
ラフな対処法を聞き出そうとするが、
「詳細な土質資料と検討計算書を持ってきてくれ」
でフィニッシュ。
つまり、詳細調査をしないと何とも言えない、これが結論。

とすると、自分の敷地ではない上部の崖のボーリング調査をし、
流出土量を算定し、敷地の奥行きが無いので、
建物本体の構造計算と図面を添付して、
一発確認申請に望むしか無い。

崖の調査には地主の許可が必要になるが、実はそこは墓地で、
所有者が誰か、すぐに判別しそうにない。
もちろん周辺の土質調査があれば良いが、
近辺に同じような状況の建物は無かった。
つまり、土地を買って確認を出して、アウトだったら建築不可という、
非常にリスキーな敷地だった事が判明しました。

事前に資料をもらっていて、
何となく嫌な感じがしたので早めに現地へ行ったが、
やはり敷地自体に問題が山積で、建築費用も通常の範囲では収まりそうにない。
計画案も特殊な敷地形状なので、それほどパターンが多くは出ない。

ここでもう一度友人と話し合い、それでもこの敷地で行くのか、
他の敷地を当たるか検討。
役所周りにも友人を連れて行ったので、
何となくヤバそうな雰囲気を感じたようで、
「やっぱりだめなのかな〜」と、落胆を隠せない。

一度はこの敷地で夢見た移住生活や、銀行との交渉、
地主への申し訳なさで、止める事になかなか踏み切れない様でした。
この気持ちは理解できるし、状況も結構差し迫っていたので、
この段階で一からやり直しを決断は出来ないでしょう。
ということで、私の滞在はすべて次の敷地を探す作業へ振り向ける事にした。

といっても、都会の様に土地の売買が盛んなところではないので、
ネットで見てもほとんどなく、
あっても高級別荘地用で手が出ない価格だったり、
店をやるには立地的にちょっと、と言うところばかり。
足を使って探すしか無いと、車でぐるぐる走り回り、
不動産屋の看板が出ているところに片っ端から電話。
幸い、良さそうな2〜3物件に出会ったので、
これから敷地調査とボリュームプランを作成し、
敷地の絞り込みに入る事になった。

しかし今回も痛感しましたが、一般の方が敷地から取得して、
建物完成までに、えらく多くのハードルがあり、
その中には法規制でどうしようもない事も多く、
そう言う敷地ほど、周辺単価より安く売りに出ていたりする。
この辺りを事前に調査しアドバイスできるのは、
やはり設計事務所しかないかと。

折角買った敷地に計画を始めようとして、
上手く設計できないもの不本意ですし、
一番不幸なのはやはりお施主さん。
今後長い人生を共に歩む住まいを建てるのに、
ライフスタイルや将来設計、予算や時によっては借入先まで、
すべてに答えきれる訳ではありませんが、
出来る範囲で調査、回答したいと思います。
本当に良い住まいを造るのは、設計や工事だけでなく、
ライフプラン全体を見渡して考える事が必要かと思っています。

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敷地を探す途中で寄った、奥さんお気に入りの天然酵母パン屋さんの庭で一枚。
なんとしてでも彼らが気持ちよく住める住まいを造りたいなと、
そう思いましたね〜。
by kameplan_arch | 2007-05-17 18:19 | 旬肴 ひとしずく/沖縄
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