「船旅」という時間

オキナワ、御蔵島を2週連続で旅して来て,
これからシゴトとしてまとめる作業に入りますが,
本土とは違う「時間」に置かれた環境について、
感じた事を書き出してみます。




御蔵島へは航路しかありません。
正確には、大島か八丈島経由での空路はありますが、
大島/八丈島→御蔵島は地域空路のヘリコミなので、
予約をとるだけでも結構大変で、席数も限られているので、
緊急性のない旅人は,船を待つことになります。
しかもこの御蔵島、黒潮に突き出すように岸壁があるため、
天気がよくても潮の流れによっては着岸できない事も多い。
船は観光客だけでなく,生活物資も積んでくるので、
長期間着かなかった場合,もろに生活に影響が出ます。

東京竹芝桟橋→御蔵島は約8時間かかります。
空路で8時間と言えば、アメリカ西海岸やヨーロッパに手が届く時間。
今日本の中で、1交通機関で8時間以上掛けないと行けない場所は,
恐らく御蔵島と小笠原父島ぐらいではないでしょうか。
(小笠原父島は26時間で、空路はありません)

8時間乗りっ放しと聞くと,「え〜、つらそ〜」と良く言われますが,
この8時間が実は重要なんです。
船が東京湾を超えると、携帯は通話圏外になります。
携帯もつながらない太平洋上を、何もするでもなく海を眺めながら,
ビールでも呑んでぼんやりしている。
そうするうちに、徐々に「島時間」にスイッチが切り替わります。

島には、その島固有の時間の流れがあります。
曜日も関係なく,9時〜5時がシゴトと言う決まりもない。
客船が着く時間がベンチマークになっている事が多いのですが,
総じて朝は早く,夜も早いのです。

朝は4時過ぎ、朝日が昇るのと同時に島は動き出し,
漁に出たり,畑仕事をしたり、観光客のガイドをしたり、
ドルフィンウォッチング船を出したりと。
夕日が落ちる頃には、一日の島の活動も終わり,
8時過ぎには就寝する方が多い。
ご挨拶や打合せに島の方のお宅にお邪魔するには,
5時位だとヘタをすると夕食にぶつかってしまい,
気を使わせてしまうことになります。
(でも、「ま、呑め!!」となる所も、島らしく楽しいんですが)

オキナワへは空路で行きましたが,
この「島時間」に微妙に合わせられない自分が居て,
なんだかご迷惑をかけっ放しだった様な気がします。
つまり、2時間弱の時間では、スイッチが切り替わりきらず,
内地のテンションを持ち込んでしまった様な。

でも、この「島時間」、実はコドモの生活時間と同じなんですね。
朝日と共に起き上がり,夕日と共に眠りに入る。
島時間と言っても,時間にルーズなのではなく,
日が出ているうちにシゴトを終わらせようと言う、
大きな自然の中にすんでいる方にとっては、当たり前の行動時間。
ヒト本来の体内時計に最も合っているのではないかと思いました。

ヒトはそれほど器用な生き物ではないと思います。
体内時間や気分を切り替えるのに,2時間位だと切り替えきれない。
スローな乗り物に乗りながら,風や日,空気がじっくり変わって行くのを全身で感じ,
その刺激によって、スイッチの切り替えをしていく。
それ位丁寧に、その場所に馴染むように旅して行く。

早く移動して滞在時間を稼ぐという考え方も分かりますが,
あまりにも「移動」という行為をないがしろにして,
「自分時間」を相手の土地に持ち込んで,
快適性を、その土地にはない「自分時間」で求めてしまってはいないか。

船旅という移動手段は,そんなヒトの不器用な面を,
うまく切り替えてくれる、いい移動手段だと思っています。
そして、土地固有の時間に自分を置いてみる。
これって、土地固有にある環境に配慮する事と、似ていると思いませんか?
by kameplan_arch | 2008-06-17 20:04 | kameの車窓より
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